たった2回が一生を変えた。
あの夜の後は私が忙しくなり会っても少し話すだけとか、外食をしたりするだけで
行為らしき行為が無かった。
だから安心しきってたのに、
ある日、生理が来なかった。
、、、それでも、時々不調な事あるし、
ぐらいに軽く受け止めていた。
さらに次の月も生理が来なかった。
なんだかおかしい。
いつもと違う。
なんだか変だ。
自分だけど自分じゃ無いような変な感覚があった。
そう思いながらその感覚を無視していた。
ある日、私の町に桂一門の落語がやってきた。
私は落語が特に好きなわけでも無かったが
チケットを手に入れたので聞きに行った。
最後に桂文珍さんが出てきていくつか落語を聞かせてくれた。
その中に、子供が生まれてくる事になっててんやわんやするって感じの落語があった。
面白い話だった。
自分の中にストンと落ちるものがあった。
その帰り道、薬局へ寄って
「妊娠反応検査キット」を買った。
家に帰ってすぐ、当たり前みたいにトイレに入り検査キットに尿をかけた。
「➕」はっきりとそう出ていた。
あの夜と朝の2回だけ、、、
本当にあの2回だけで
出来てしまった。
どうしよう。どうしよう。
:(;゙゚'ω゚'):
どうしよう。どうしよう。
頭にその言葉がグルグル回った。
いきなり現実が押し寄せてきた。
頭が真っ白になった。
、、と同時に明日婦人科行ってちゃんと調べなきゃ!!
下ろすならいつまでなら大丈夫なんだろ?!
焦りながらも、私は赤ちゃんとサヨナラする事ばかり考えていた。
そう、下ろそうと思っていた。
産んでもしかたないと。
なのに、頭の中ににあの彼女の声が響いた。
「私もう子供、産めないんだ」
って。何回も何回もリフレインされた。
私はすでに35歳以上になり、充分すぎるほどリスクの高い高齢出産適応者だった。
今、産まなかったら、次はもう無いかもしれない。
悩んだ。
悩みまくった。
ゲロ男と結婚し、生命を誕生させるのか、
紙切れにサインしてもらい赤ちゃんの命を絶つのか。
、、、、ズルい私は決めかねて
ゲロ男に電話をした。
今ある事実だけを話そう。それでゲロ男がなんて言うかでまた考えよう。
そう、私は逃げた。考える事から。
自分の身体なのに。大切な命なのに。