命の自覚と自分の気持ちと号泣と。
ゲロ男に電話した。
大切な話があると言った。
家に来てゆっくり話さなければならないと。
ゲロ男は神妙な面持ちで家に来た。
別れ話を切り出されると思っていたらしい。
私はしばらく黙っていたが、
黙っていても仕方がないのでハッキリと事実を述べた。
「お腹の中に赤ちゃんがいます。
あなたと、私の赤ちゃんです。
まだあなたとは結婚していないし、私にはあなたを縛る事も出来ないので、あなたの今の気持ちを正直に聞かせて下さい。」
やや下を向きながら話をした。
、、、、、、、、、
、、、、、、、、、
沈黙が流れた。
『ああ、やっぱりな。そりゃそうだよな。
年上なのに、ちゃんと避妊しろよ!とか思ってんのかな。めんどくさいババアだなとか
思ってるよな。』
自分自身も中絶を考えたくせに、
私はすっかり被害者面になっていた。
多分、たった数秒の時間が長く長~く感じた。
あまりにも長く沈黙が続いた気がして、ゲロ男の顔を見ようと、顔を上げると、、、
ゲロ男が号泣していた。
涙も鼻水もズルズルになりながら一切すすらずにニコニコ笑いながら泣いていた。
「良かった!2人の赤ちゃんだね!
めちゃくちゃ嬉しいよ!ありがとう!
ありがとう!」
(┳∧┳)
私の予想に反して、ゲロ男は喜びで、咽び泣いていた。
その反応を見て、私も初めて声を上げて泣いた。
ありがとう!ありがとう!
とお互い言いながら泣いた。
強がっていたけど、、、
赤ちゃん、下ろしたく無かったんだ。
赤ちゃん出来て嬉しかったんだ。
そんな自分の気持ちに初めて気付かされた。
、、、この時は、それが借金地獄の始まりになるなんて、思いもしなかった。
ただ、ただ、産まれくる命を愛おしく感じ、
喜びに溢れていた。